バンコクの中心部に位置し、チャオプラヤ川沿いに広がるクロントゥーイ地区。
このエリアはバンコク最大級のスラム街が存在することで知られています。
しかし、クロントゥーイ全体がスラム街ではありません。港や商業エリア、政府機関が存在し、歴史的な背景も持ち合わせています。
この記事では、クロントゥーイ地区の歴史や治安について詳しく紹介します。
1950年代から急成長を遂げたこの地区が、どのようにして現在の姿に至ったのか、また実際に訪れる際の注意点についても簡単に触れていきます。
クロントゥーイ地区の概要
クロントゥーイはバンコク最大規模のスラム街が存在するエリアと言われるエリア。
この地区はバンコク中心部のやや南、チャオプラヤ川沿いに位置するエリアで、「クロントゥーイ」「クロンタン」「プラカノン」の3つの地区で構成されています。
クロントゥーイは地区名であり、それを構成する小地区の名前でもあります。
この記事で触れる治安や歴史は、この小地区「クロントゥーイ」に関するものになります。
クロントゥーイ地区には、MRTのクロントゥーイ駅から徒歩10分程度、BTSのプロムポン駅から徒歩30分程度でアクセスすることができます。
クロントゥーイ地区の歴史
クロントゥーイ地区の歴史は遡ること1950~1970年頃。
第二次世界大戦終戦後、チャオプラヤ川上流にあるクロントゥーイ地区にクロントゥーイ港が建設されます。
タイ政府はバンコクを急速に成長させるために多くの労働力が必要でした。
そこでタイ政府は、「土地をものすごーく安く使わせてあげるからみんな働きに来て!」という政策を打ち出しました。
そのおかげもあってバンコクは急成長を遂げることができました。しかし、その一方で急成長を遂げて労働力が必要なくなり、地主により土地のビルやマンションを建てるなど再開発が進みました。
そうなると元々住んでいた土地の住民は住処を失い、現在のスラムと言われている高架下や配線沿いに追いやられることになりました。
これが現在のクロントゥーイ貧民街の所以だそうです。(所説あります)
クロントゥーイ地区の治安
クローントゥーイ地区はとても広く、治安が悪いと言われる所以である貧民街は地区の南、高速道路沿線の高架下や廃線沿いにあります。
このエリアはまだしもその近辺ないし、その他のクロントゥーイ地区の治安はどうなのか。
実際にクロントゥーイ地区で1週間滞在し、色々な道を歩いてみた時の雰囲気をここでは紹介しようと思います。
ちなみに歩いていた時の装備は、白い登山リュック、サンダル、半袖短パン、肩にGoProでした。
(カメラが結構目立つ)
Rama Ⅳ 道路
RamaⅣ道路(赤い線)の治安についてです。
この通り沿いには、大きな銀行やショッピングモールが立ち並んでおり、日本で言う大通り&幹線道路のイメージです。
常に人通りが多く、車もビュンビュン走っているのでまず治安は問題ありません。
夜間22時ごろにこの道を歩きましたが、全く危険は感じませんでした。
クローントゥーイ地区で最も安心して歩ける道と言ってもいいでしょう。
Rama Ⅳ 道路南の小道
RamaⅣ道路 南の小道(緑の線)の治安についてです。
※地図はこちら
先ほどと打って変わり、この通り沿いには、大きな施設はありません。あるのはほぼ民家です。
露店をチラホラ見かけますが、地元の方向けの飲食店という感じです。(行きましたが笑)
また、川沿いの貧民街に面しているので歩いている人はまずいません。住民くらいです。
ただ、歩いていてジロジロみられることはなく、人に危害を加えられるような危険は感じませんでした。
それよりも危険なのは、歩道がないということ。
バンコクの交通マナーが最悪なのはご存じの通りで、人が歩いていようと爆速で通り抜けていきます。
こうなると後ろからバイクによる引ったくりや普通に車にはねられる危険性を感じる道でした。
というか私は車に轢かれましたw 腕がミラーにぶつかっただけで幸いケガは負いませんでしたが。
治安は特に問題ありませんが、
一本北に行けば、安全なRamaⅣ道路があるのでわざわざこの道路を歩くことはないと思います。
At Narong 道路
At Narong 道路(青の線)の治安についてです。
※地図はこちら
この通り沿いには、財務省などの政府機関があり、日本で言う大通り&幹線道路のイメージです。
車がビュンビュン走っていますが、辺鄙な所なのか人は殆ど歩いていません。
バス停が点在している道路なのでわざわざ歩かないのかも。
昼夜問わず歩いても治安は問題ないですが、飲食店があるわけでも観光スポットがあるわけでもないので、わざわざ歩く必要もないと思います。
高架下の道路
高架下の道路(ピンクの線)の治安についてです。
※地図はこちら
この通り沿いには、クロントゥーイ港くらいしかありません。
港と言っても、工場のゲートみたいのがポツンとあるだけで何もありません。
At Narong 道路から川沿い高架下方向に曲がっていくと古い団地のようなものが乱立し始め、雰囲気が変わってきます。
高架真下方向を見ると母屋が立ち並んでいたりして異様な空気間が漂っていたので、流石に行くのを辞めました…。
超超超ローカル住宅街って感じです。
そのまま川沿いに高架下を歩いていくと川沿いに敷き詰められた母屋が見えてきます。
無造作に干された洗濯物、潰れた母屋、ヘドロにまみれて異臭がする川、川に排泄したり、残飯を捨てる住民。
「あー、ここが貧民街か」って認識しました。
連なる母屋の大半は川を挟んで反対側(北側)にありますが、南側にも違法に建てられたであろう母屋や中には高速道路の支柱の上で寝泊まりする人もいました。
肝心な治安はというと特に危険は感じませんでした。
ただ、昼間でも誰一人すれ違わなかったので、極力止まらず歩き続け、夜間は近寄らないようにしてください。
クロントゥーイ地区を歩く時のアドバイス
治安が意外と悪くないと書きましたが、日本国内をふらふらする気持ちで立ち入っていい場所ではないと改めて警告しておきます。(高架下エリアに関して)
治安どうこうの前にそこで生活している人がいるわけで、観光客が来てジロジロ見られたらいい気持ちはしないはずです。
また、日本と同じアジアとは言え、タイでは大麻や麻薬が横行し、そして銃社会です。
実際、銃乱射事件が起きているのもまた事実です。
参考:Police arrest 14 more suspects connected to Khlong Toei shooting
観光地ではないのでわざわざ行く必要もないクロントゥーイ地区の高架下ですが、もし行く場合のアドバイスを書いておこうと思います
・ブランド品は極力身に着けないこと
・紐の細いバッグなどは身に着けないこと
・荷物は前に抱え、ポケットにスマホや財布を入れないこと
・デカいカメラなどをブラブラさせて歩かないこと
・路地裏や昼間なのに人気がない道は避けること
海外を歩く時に気を付けることと特段変わったことはありません。ポイントはとにかく目立たないこと、お金を持ってそうと思われないことが重要です。