北の大地、北海道。
その最北端に位置する離島の一つ、利尻島。
利尻の由来はアイヌ語の”リイシリ”からきており、その意味は”高い島”という意味。
その名の通り、天高くそびえたつのが日本百名山の一つである利尻山。
今回はこの利尻山の登頂に挑戦してきたのでその時の様子を書いていきます。
これから利尻山登ろうかなぁと思っている方の参考に少しでもなれば嬉しいです。
登山経験
利尻山にはとも・ゆうの二人で登りました。
二人の登山経験はこんな感じ。
とも:1年(往復7時間くらいの山に2度ほど)
ゆう:3年(南アルプスなど日帰りで行ける山の経験)
普段の運動は週末に平均で12000歩歩くくらいでごく普通の人間。
登山ルート
現在利尻山に登るルートは二つ。
一つ目は島の北側-北麓野営場ルート
二つ目は島の北北東側-姫沼ルート
今回は一つ目のルートで行きました。
詳しいルートが見たい方は登山アプリ-YAMAPをご確認ください。
・利尻山登山ルート
登山開始
ゆーにキャンプ場を出発
宿泊先のゆーにキャンプ場から北麓野営場に向かいます。
天気は快晴。
利尻山の登山客は02:00~05:00くらいに出発する人が多いみたいですが、私たちは11時間もあれば行けるでしょ!くらいの気持ちで06:00に出発しました。(他に誰もいない)
この選択が間違っていたと気づくのはまだ先の話…。
ちなみにこの時期の利尻は03:00くらいには明るくなっているので全然スタートできます。
というかできるだけ早く出発することをお勧めします。
北麓野営場で水分補給
舗装路を歩くこと1時間、北麓野営場に到着しました。
体力は全然余裕。スキップするくらい。
持参したタンクに水を補給しているとそばにいたクールビューティなお姉さんから一言。
「水、3Lは持って行った方がいいですよ」
予定では2Lあれば大丈夫だろうと思っていたのですが、忠告通り3L補給することに。
この後お姉さんに本当に感謝することになります。。。
登った後の感想としては飲み水だけで4L~持っていくと安心です。
カップ麺等を食べる場合は飲み水とは別に300mlとか必要です。
最後の水場 甘露泉水
北麓野営場から15分ほどで到着。
ここから先に水を汲める場所はないので必ず水を補給してください。
ここの水は飲料水として販売される程でキンキンに冷えていて最高に美味しいです。
野営場の水道水もおそらく同じ水です。
余談ですが、島の湧き水は幾つか存在するけど、殆どが海に直接流れており、汲める場所は2か所しかないということでした。
第一見晴台
甘露泉水から第一見晴台へのルートは比較的なだらかで見晴台に近づくにつれてアップダウンが激しくなります。
でもまだまだ余裕。
ここに来るまでに何人かの下山者とすれ違いました。
早すぎないか。
第二見晴台
第一見晴台から第二見晴台に向かうルート、ここがマジの本当につらいです。
強烈なアップダウン、足場はジャガイモ畑(石)で滑る、歩きづらい。
第二見晴台に到着する頃にはバテバテ。
周りにいた人もかなり辛そうでした。
前日に行った温泉で
「利尻山、9合目までは普通でしたよ。9合目からがかなりしんどい。」
と話す登山者がいました。
え?これよりきついの?まだ7合目だよ?
ここでも余談。
この時点でスニーカーで登っている大学生?のソールが剥がれて修復キットを持っていないか聞きまわっていました。優しいお兄さんが靴紐と医療用テープをあげてました。
そもそもなんでスニーカーなんや!という感じですが。
ちゃんとトレッキングシューズで登りましょう。
まぁ、この後彼らはすごい速さで登頂していたので若いってすごいなぁと感心。
第二見晴台~利尻岳山小屋
第二見晴台を過ぎてもまだ急坂が続きます。
(辛すぎてこの辺りから写真撮り忘れてた)
ここで事件発生!
なんとゆうさんが突然泣き出しました。。。
もう辛い、登れないと。
体力的にも時間的にもこれ以上進むのはギリギリ。
出発をもう少し早くしていればと本当に後悔しました。
8合目までは…8合目までは…と泣きながら歩みを進めました。
途中何度も何度も休んでいると後ろから来た第二見晴台に居たお兄さんと再会。
ともゆう「頂上まで行かれるんですか?」
お兄さん「もちろんです!(満面の笑み)」
ともゆう「ですよねぇ…」
このお兄さんの一声でともゆうが底力を発揮します。
利尻岳山小屋
第二見晴台からの急坂を過ぎると尾根道になります。
一時の休息…。
尾根道の途中にあるのが利尻岳山小屋です。
避難小屋扱いなので宿泊はあまり推奨していなそうでした。
それにかなり薄暗く不気味な感じなので泊まりたくない…苦笑
9合目に到着
8合目までは頑張ろうと思っていたともゆうはいつの間にか9合目に到着。
それどころか頂上行っちゃう?という状態になっていました。
お兄さんの「もちろんです!」効果恐るべしです。
ただし、ここからが本当の正念場です。
9合目~頂上
9合目~10合目は急勾配、足場は砂礫で滑るし、油断すれば足を挫きかねない。
おまけに両サイドは崖で落ちたら死。
そんな極限状態の中、時折現れる絶景。
辛いけど来てよかった、もう少し頑張ろうと思えるほどです。
利尻山頂上に到達!
登頂!!!
「8合目までは頑張ろう。」
「9合目までは頑張ろう。」
そういって途中一度は挫折した登頂を成し遂げました。
達成感が半端じゃないです。
それと同時に襲い来る下山できるだろうかという不安。
登頂時の時刻は14:10、日没は19:00。
登頂に8時間かかっているのに5時間で下山しなければいけない。
しかも疲労困憊の体で。
周りにいるのはお兄さんだけで私たちが最後の下山客でした。
結局、頂上に居た時間は15分程度でお昼ご飯も食べず、写真を何枚か撮影し、さっさと下山することにしました。
下山開始
ケガをしないように慎重に歩みを進めます。
下山は登りとはまた違う景色が見えるので楽しいですね(カラ元気)
下山について
下山は疲労が蓄積されているので登りよりも気を付ける必要があります。
足場が悪いため、歩きながら足首が360℃全方向に傾くので捻らないようにかなり神経使いました。
今回、初めてストックポールを持参したのですが、なかったら結構やばかったです。
下山までにたぶん6回くらい足を捻った(笑)のですが、ポールをついてたおかげで全体重が足首に掛からず、致命傷を負わずに済みました。
足を捻るたびにテーピングもってこればよかったと思っていましたね。
あとは日没を気にする必要があります。
日が落ちてしまうと足場が見えなくなり、ケガや遭難リスクが大幅に上昇します。
幸いにも私たちはヘッドライトを持参していたので焦りはありませんでしたが、
無ければ焦ってケガをしていたかもしれません。
焦らずゆっくり進むことが、結果的に早い下山につながると思います。
下山完了まであと少しのところでハプニング
辛さを紛らわすためにオリジナルソングを歌いながら下山していると何やら人影が。
(聞かれてしまったか…)
母娘の親子と例のお兄さんが立ち止まっていました。
話を聞いてみるとお母さんが脱水症状になっていたから水を分けてあげていたとのこと。
なんと頂上から5合目付近までペットボトル半分(250ml)の水で降りてきたと…。
お兄さんも殆ど水を切らしていたのでともゆうの水をお母さんに分けてあげることにしました。
(まだ2L近く残っていたので)
重い水を担いできてよかった。ありがとう、野営場に居たクールビューティなお姉さん。
おまけで娘さんには塩飴をプレゼント。
途中で追い抜いてしまったけど無事下山していることを祈ります。
下山完了!
やっとのこと野営場迄たどり着きました。
この時点で日没の20分前。
甘露泉水~野営場が異常に長く感じた…。
あと舗装路歩くの辛い。
野営場からはタクシーを呼び、お兄さんと相乗りでゆーにキャンプ場まで移動しました。
え?ずるいって?
いいんです。楽をしましょう。
900円払って1時間早く帰り、その分チルしましょう。
ご褒美のビール!
ゆーに到着後真っ先に向かったのが、移動販売車。
お兄さんにタクシー代を出してもらった代わりにビールをプレゼントして二人で乾杯。
とも「うめぇぇぇぇぇぇえ~~~~~」
最高に美味しかった。ありがとう利尻山。
この後、温泉に入ってお酒が回り、泥酔によりダウン。
疲れた体 + すきっ腹 + お酒 + 温泉。
みなさまお気を付けください…。
利尻山を眺めながら就寝
酔いがさめてからみんな大好きセイコーマート迄夕食を買いに行きました。
そしてテントの前で利尻山を眺めながらチルタイム。
ともゆう「ほんとよく登れたなぁ」
としみじみ。
この後、死んだように寝ました。
利尻登山のお役立ち情報
ここまで書いてきたように利尻山は本当にハードマウンテンです。
(天気や人によると思いますが)
そこで少しでも安心して登れるように気づいたことなど書いておこうと思います。
スマホの電波はあるの?
電波はあります。
頂上に登るまでずっと繋がっていたので安心です。
道に迷わないの?
大丈夫です。
基本的に一本道なのでまず迷わないです。
一度ゆうさんが道を間違えかけていましたが、ちゃんと通行禁止のロープが張られていました。
虫はいるの?
夏の山なので虫は当然います。
ただ、水場がないので蚊はいませんでした。
厄介なのがアブっぽいやつで低地帯、見晴台、山小屋あたりに沢山います。
奴らは皮膚を食いちぎって血を吸うので嚙まれると痛いですし、乱暴に払うと血が出ます。
おまけに嚙まれてから1週間くらい痒みが続きます。
対策として厚めのタイツや長ズボンを履くか、虫よけスプレーを使いましょう。
おわりに
ここまで利尻山がいかに過酷な山かを書いてきましたが、それに見合うだけの絶景や達成感があるのもまた事実です。
利尻島に来る機会があれば是非登ってみてください。
ただし、必ず十分すぎるくらいの準備をして、時には途中でリタイアする覚悟をもって入山してください。
これにて利尻山登頂編は終了!
登山以外の日本最北端の旅の模様は他の記事でも紹介する予定です。
それではよき旅ライフを~。
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