NASを構築しようと思ったけど、RAID1構成かRAID5構成のどっちにするべきかわからない…。
今回はそんな方に向けてRAID1とRAID5の特徴、どんな人に向いているかとその理由まで徹底的に解説します。
れっつごー!
【結論】家庭用NASならRAID1で十分!
構築するNASの用途が家庭用であれば、RAID1で十分です。
具体的には、こんな人はRAID1がおすすめ。
・NASにアクセスする頻度は週に数回程度
・NAS構築費用をできるだけ抑えたい
・NASにアクセスする頻度が1日に複数回(仕事で使うなど)
・NASの処理速度を少しでも速くしたい
お仕事で使う人はRAID5がよさそうだね!
そもそもRAID1、RAID5て何?
そもそもRAID1とかRAID5て何?という人もいると思うので簡単に解説します。
RAIDとは
RAIDとは、「Redundant Array of Independent Disks」の略称で直訳すると「独立した記憶装置の冗長配列」です。
簡単に言うと、小容量のHDDを沢山集めて1個の大容量のHDDとして使うことができる技術です。
1個の大容量HDDの場合、それが壊れたら終わりですが、
複数のHDDの場合、1個が壊れても残りのHDDにあるコピーデータを使えます。(冗長性)
複数のHDDに対して並列処理できるので、速度が向上します。(パフォーマンス向上)
RAIDの後ろにつく数字によって、この冗長性やパフォーマンスを持っていたり、なかったりします。
数字が大きい方が高機能です。
このように巨大な容量確保、データ保護、パフォーマンス向上等を一挙に実現できる技術がRAIDです。
なんだか絵本のスイミーみたいだね。
RAID1とは
RAID1とは、2つのHDD間で全く同じデータを保持して、
冗長性を確保することに重きを置いたRAID構成です。
読み込み速度は速いですが、書き込み速度が遅く、容量効率が悪いという特徴があります。
HDDが2つとも壊れるとデータが消失します。
RAID5とは
RAID5とは、3つ以上のHDD間でパリティという情報を保持して、
冗長性、パフォーマンス、容量効率を確保することに重きを置いたRAID構成です。
1個のHDDのデータが壊れても他の2つのHDDが持ってる情報(パリティ)を組み合わせれば、
壊れた1個のHDDの情報を復元できるよね、って技術です。
読み書き速度が速く、容量効率が良いという特徴があります。
HDDが2つ以上壊れるとデータが消失します。
家庭用NASでRAID5が不要な理由とは?
ここからは家庭用NASでRAID5が不要な理由を解説していきます。
データ損失のリスクが変わらない
RAID5は、RAID1と比較してデータ損失のリスクは変わりません。
RAID1もRAID5もHDDが2つ以上同時に壊れるとデータが消失する点は変わらないからです。
そもそもRAID自体はデータバックアップのためではなく、冗長性を担保したり、速度を向上させるための技術です。
ITにおける冗長性とは、「システムを停止させずに継続的に稼働し続けられるようにすること」で
金融機関などのシステムでは非常に重要な考え方です。
でも、複数のHDDにデータをコピーしてるんだから、それはバックアップじゃない?
その通りです。
RAID1以上であれば、バックアップの役割も果たしています。
ですが、RAIDはバックアップを目的とした技術ではなく、
データ消失リスクはそれなりに残っているため、ここでは不十分としています。
RAID1、RAID5にしろ、データ消失を防ぐためにはRAIDとは別に対策を講じる必要があります。
初期費用が高い
RAID5を構成するためには最低でも3つ以上のHDDが必要になるため、RAID1よりも初期費用が高くなります。
容量で変わりますが、HDD1個分多く初期費用がかかる点に注意が必要です。
※HDD(8TB)は3万円前後
3万円あったらコストコでサーモン6kgは買えちゃう!NOoooo!!!
容量増加時の費用が高い
RAID5は、容量増加時の費用が高いです。
※一般的な家庭で使う最大サイズ:4ベイNASの使用を想定した場合
容量を増やしたい場合、以下の点に考慮する必要が出てきます。
・既存HDD容量以上のHDDを追加しても、既存HDDとの差分容量が使えない
・既存HDD容量以上のHDDに交換する場合、既存HDDすべて交換が必要
・簡単に増加できる容量は、既存HDD1個分の容量まで(4ベイの場合)
・SynologyNASの場合、SHR構成にすることで無駄な領域を最小限にできる
字面だけだと想像しづらいと思うので
Synology公式サイトのRAID計算機を使いながら、具体的な例を挙げてみます。
なお、一般的な家庭で使う最大サイズ:4ベイのNASを使用する想定で考えます。
まず、10TBx3で構成した場合、利用可能な容量は18.2TBです。
ちょっと容量が足りないので2TBのHDDを1個追加して2TBx1、10TBx3にしてみましょう。
利用可能な容量は5.4TBになり、12.8TB減少しました。
このように既存HDD容量(10TB)以下のHDD(2TB)を追加すると使用可能領域が減ります。
仕切り直して、10TBのHDDを1個追加して10TBx4にしてみましょう。
利用可能な容量は27.3TBになり、9.1TB増加しました。
5ベイ、6ベイ…とある場合は、HDDを追加した分だけ容量を増加可能です。
今回は4ベイ想定でこれ以上追加できないので、
さらに容量を増やすためには既存のHDD容量を大きくする必要があります。
HDDを1つ20TBに変えて10TBx3、20TBx1にしてみましょう。
利用可能な容量は増えません。
このように既存HDD容量(10TB)以上のものに交換しても差分容量(20-10=10TB)が使えません。
では、HDDをもう1つ20TBに変えて、10TBx2、20TBx2にしてみましょう。
利用可能な容量は増えません。
HDDをもう1つ20TBに変えて、10TBx1、20TBx3にしてみましょう。
利用可能な容量は増えません。
未使用領域がどんどん増えていくだけです。
HDDをもう1つ20TBに変えて、20TBx4にしてみましょう。
利用可能な容量は54.6TBになり、27.3TB増加しました。
このように既存HDD容量以上のHDDを交換する場合、既存HDDすべて交換が必要になります。
最低3つも交換したらサーモンいっぱい買えちゃうよ!
サーモン換算ばっかり…!
RAIDの仕組みは複雑で単純に容量が大きいものに交換すればいい、というわけではないのです。
SynologyのNASではこの欠点を補うSHR構成というスーパー機能があり、HDD交換時の無駄な領域を最小限にすることができます。
ですが、使用可能領域を増やしたい場合、最低でも既存HDD容量以上のHDDを1つ追加、1つ以上交換する必要があります。
2つ交換が必要な点は、RAID1も同じです。
RAID1構成でもHDD交換は簡単
RAID1構成の場合、2つのHDDに同じデータをコピーしてるからHDD交換が複雑なのでは…?
と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
- 既存HDDを1個引っこ抜いて新規HDDを差し込む
- 既存HDDから新規HDDに自動でデータがコピー
- 残りの既存HDDを1個引っこ抜いて新規HDDを差し込む
- 既存HDDから新規HDDに自動でデータがコピー
たったこれだけです。
このように容量増加や故障時のHDD交換を考えても、RAID5と比較して面倒なことは一切ありません。
これだけなら僕でもできそうだね、えい!
あっ…この手順は簡易的なものだから、ちゃんと調べてやらないとデータ消えちゃうよ!
後からRAID5構成に変更できる
3ベイ以上のNASを使用している場合、RAID1からRAID5へ構成を変更することができます。
なので初めは4ベイNAS/RAID1構成/HDDx2で運用して、後からRAID5にすることができます。
ただし、SynologyNASの場合はSHR構成にしておけば、この点は気にしなくて良くなります。
よくわからないけど、とりあえずSHR構成にしておけば大丈夫そうだね。
最後に
NASを構築する際に悩むRAID構成ですが、それぞれに特徴があり、使い方によってベストな選択肢が変わってきます。
構築してから後悔しない様にそれぞれの特徴をしっかり理解してよきNASライフを送りましょう!
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